他者に情が生まれる条件

②けいけん(考え)
画像出典: MonicaMaxWest
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・はじめに
当記事には、人権問題等の社会的課題を共有していただきたいという意図が含まれます

1. 立憲・法治国家であり得ないこと、が同時多発的に起きていた

ぼくは元々「健常者」として育ったから、13歳で「障害者」となった時、日本社会の対応に愕然とした。

日本って、障害者にとってこんなにも生きづらい国だったんだ…
障害者っていうだけで、もう人間扱いしてもらえないんだ…

それだけじゃなくて。ぼくはただの被害者ではなく、それまでの差別的な文化に染まり、自身差別する側だったことに気付かされた。

「お前精神科に行ってこいよー笑」
「できない奴が悪い。努力しない奴が悪い。」

そんな言葉を当然のように使って生活してきたことをこころの底から悔いたし、反省した。それでも本音を言えば、あまりの周囲の仕打ちに、まだ子どもだったぼくは耐えられない思いだった。それまでも、お金持ちの子、優しい両親の子、恵まれた子として、苦しみを理解してもらえず、ぼくの言葉を信じてくれる人はいなかった。(「あの人たちがそんなことするわけない!」という言葉から、誰かを信じるということは、他の誰かを切り捨てるということだと学んだ。)

追い詰められ、ようやく助けてもらえるかと思いきや、「精神障害者」というラベルによって、明らかに周囲の反応は悪い方へと加速した。何処へ行っても存在否定・邪魔者扱い、たらいまわしにされ、心身衰弱に陥った。閉鎖病棟に閉じ込められ、出るはずの薬を出してもらえなかったり、反対に突然襲われて大きな注射を打たれたり。まるで野良犬か何かを相手にするような嘲笑的な看護師たちの扱いに、ぼくの脳は完全に人間を恐怖の対象として認識するようになった。助けを求めても、今度はその内容を信じてもらえない。自分たちだって、似たようなことしてたはずなのにね。(もっと酷いことが、日本中で全国的に起きていたことは、各種文献によって確認できる。例:注1)
そしてこの社会問題は今も解決していない。

35歳で極度の強迫性障害から解放され、「健常者」に戻ったが、世間の目は変わらない。それまで苦しんだきたことを、「甘え」とみなされ、ぼくは同じ人間に認めてもらうために高校、大学と進学したが、人間は敵だという認識を強めてしまっただけのような気もする(当時は知識がなかっただけで、安心して育てなかった人間にとって、人に認められようと生きることは推奨できない)。

教育についての知識も、元々は自身を否定してきた人たちに証明したいという気持ちだったのだと思う。あの苦しみは本物で、精神論で解決できるものではなかったって。その人たちは、血縁者ですらもうみんないなくなった後だったけど。
彼らにとって人間性や感情、状態、在り方とは、全て個人の責任であり、自身らに金や地位や家族があることも、平等な条件の中自身の努力のみで勝ち取ったという認識のようだった。(念のため、これは科学的な視点からはあり得ない。心理学、教育学、社会学、脳科学等がそれらを同様に証明している。医療(日本の現状の医療ではない)の観点からも、当然不適切な考え方だ。(関連記事:「専門家に頼れない?心の問題」))

2. ルソーの指摘

ルソーは著書で、次のようなことを述べている。人は、自分も同じような立場になり得る、と感じる時にのみ、他者に憐れみ、同情を示す。確かにな、と思う。恵まれている者にも差別の対象者にも情のある判断ができなくなるのが人間なら、ぼくの人生はすっかり説明できる。人間の歴史を見てもそうだ。

またこれに沿うなら、日本の健常者は、自分は障害者になり得ないと考えていることになる。が、だとすればそれは間違っていて、全ての人が必ずいつかは死ぬように、歳を取り死ぬ直前には、ほぼほぼ全ての人が障害と呼べるだろうものを負うことになる。その時に、同じことが言えるのか、「役に立たないから、汚いから、〇してしまえ。」ただ日本のメンタルヘルスの評価や幸福度なんかを見ると、少なくない人が薄々は気付いてるんじゃないかとも思う。明日は我が身。

優秀さや美しさは平等には与えられず、またお金と技術によって引き延ばせるかもしれないけど、誰もがそれらに執着しなくてもいい社会になれば、生きることに安心が生まれるはずだ。そうしたら、教育も安定しやすいし、良い循環が生まれる。そのためにまずできることは、知ることだろうと思う。妄想共有能力もそうだけれど、人間の特徴を知って、メタ認知する。先進国という響きはあまり好きじゃないけど、その先に初めて、本当の意味での先進国への道が見えてくるのだろうと思う。


1 大熊一夫(2017)『精神病院を捨てたイタリア捨てない日本』岩波書店

主な参考文献(作者五十音順)
・大熊一夫(2017)『精神病院を捨てたイタリア捨てない日本』岩波書店
・ジャン=ジャック・ルソー(2008)『人間不平等起源論』光文社

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