・はじめに
全てのひきこもりのケースにおいて断言できるものではないことをご了承ください。
・本文
「教育の理論」に沿って考えた時、傾向として、復帰できるひきこもり方と、できないひきこもり方があります。正しいひきこもり方が認知されていないために、社会に復帰できる方が極端に少なく、現在のひきこもり推定数140万人に繋がっているといえます。
ひきこもること自体は、こころ(脳)を守るために必要な時期と捉えられますが、休息を取って状態を回復し、社会に復帰することが目的になるかと思います。自身のアイデンティティを脅かすいじめやパワハラといった危険を回避し、家にこもり安全な場所で過ごすことで、自身の傷付いた自己肯定感や、他者に対する信頼感を取り戻していく過程だと考えられます。(これらの感覚の慢性的欠如から、ひきこもらざるを得ないケースも多いでしょう。)
「教育の理論」に準拠して言い換えるなら、ひきこもりから復帰する手段は、潜在意識を書き換えることだと表現できます。
【復帰できるひきこもり方(方針)】
・家族等の養育者が協力できる場合には、周囲が安心できる環境を提供する
・当事者の方がご自身を責めず、自身の純粋な欲求によって行動する
周囲が当事者の方を否定・攻撃したり、「こうであらねばならない」とほのめかしたりすることは逆効果です。また環境に問題がなくても、育った環境等によって社会生活を送るためのこころ(脳)の基盤が整っていない場合には長期化してしまう恐れがあります。自己否定も然りですが、「○○せねばならない」と他人軸(社会的価値観等)でしか動けなくなっていると、まずはその基盤から書き換える必要がでてきます。目指すのは、「自分には価値がある、人間はみんな味方だ」といった潜在意識(こころ・脳)の状態です。(詳しくは関連記事:「教育の理論「概要」」)
理論を理解することが第一歩ですが、潜在意識を矯正、書き換えることには時間を要します。環境によって体験・学習してきたことを、知識だけで変化させることは難しいからです。可能であれば周囲に協力を求め、考え方や生活を変えていく努力を積み重ねましょう。周囲に協力を求められないようであれば、まずは自身のこころを守ることを優先にして、自分の気持ちを否定しないことから始めることをお勧めします。自分の感情をあるがままに認め、自身をこそ世界で一番大切に扱い、優しい言葉をかけるようにします。発達に関する本を読み知識を身に付けることも、当たり前だった日常を変える手助けをしてくれます。
ひきこもりや自殺がこれだけ大きな社会問題になる背景には、社会の仕組みや風土が影響しています(関連記事:「専門家に頼れない?心の問題」)。一部を差別し排除する文化は、自身の存在価値を無条件の中に見出すことも難しくしてしまうからです。思い出していただきたいのは、常識とは多くで共有された妄想に過ぎず、事実だから共有されているわけではないということです。(関連記事:「妄想共有能力」)
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