都合の良い理論や正義が人を追い詰める(※「都市伝説解体センター」ネタバレ注意)

②けいけん(考え)
画像出典: smartschwarz
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※できる限りネタバレないよう配慮していますが、どこまでをネタバレと感じるかは個人差があります。どうぞご了承ください。

1. 犯人は、世間一般人

以下は、「都市伝説解体センター」ゲーム内で語られていた言葉です。

・「むしろ 殺されたってんなら ○○の方だろ!あいつを自殺に追い込んだのは誰だ?世間 一般人!あいつらだ!あいつらは正しい情報なんか求めてない 欲してる情報を流してやれば考え無しに飛びつくんだ!」
・「〇〇を殺したのは 自分こそが正義であると思いこむ一般の人間達です。」

これは、とある人物の大切な人を死に追いやった、「一般人」に対して語られる言葉です。表面だけを見て事実かどうかも確認せず、「正義」の名のもと、他者を否定し、攻撃する…

耳の痛くなる話です。当然、私自身もこの一般人に該当し、この「大切な人」を奪った一人なのです。

そして、私たち一般人は、都合の悪い情報に対しては真逆の反応を示します。無視、拒絶、攻撃、責任転嫁、、、無意識に繰り返されるそれらに、意識的になることすら難しい。

順番を追って考えてみましょう。
私たちは、事実を中心に社会を回すことができません。基本自分の「都合」です。たとえば、いじめも虐待も戦争も、個人の都合によって起こり、個人の都合によって正当化されます。そして傍観者もまた、自身の都合によってその出来事を処理します。見なかったことにする、嘘を付く、加担する、どちらかの言い分だけを鵜呑みにする…

結果として、本人の意思に関係なく、傍観者もまた加害者になっていきます。そして大抵の場合、その自覚もありません。

法律や規則だけではなく、私たちが信じる道徳や美徳さえ、良くも悪くも誰かの都合によって作られたものです。時には無意識に植え付けられ、ときには植え付ける側に回り、延々とさまよい続ける社会。

自身の価値観や判断を通すことでしか、事実を消化できない人間にとって、思考はすべて妄想に過ぎないと言われることがあります。ならば、完全にその外に出ることは不可能でしょう。他者とアイデアを共有することに本能的な価値を見出す人間であるからこそ、そもそも事実に沿うことに意義を見いだせない方もいらっしゃるかもしれません。(関連記事:「妄想共有能力」)

それでも、もしすべての人に平等な人権があると信じるなら。 その理念を掲げた国で、社会の一員として生きることを望むなら——

私たちは、自らの知識と思考を用いて、どこに事実があるのかを見極める努力を続ける必要があると思うのです。そして、その上であらゆる尊厳を守る姿勢を持ちたい。せめて、誰かを傷つけないように振る舞うこと。それだけでも、きっと意味があるはずです。

当ブログで取り上げる問題も、「都市伝説解体センター」の問題と全く同じです。私たちはずっと看過してきました。環境による自己肯定感と社会的信頼の欠如が、ひきこもりや精神疾患を生み、人を自死に追い詰めると分かっていながら、長年その考えを否定してきました。支援のあり方を根本的に変えることもせず、その原因を個人の弱さや怠惰にすり替えてきたのです。

自殺が急増し、年間自殺者数3万人に達した1998年から2024年に至るまでだけでも、概算して約72万5千人の方が亡くなっています。科学的に教育を理解し、適切な仕組みや支援を組み立てることによって、苦しみを減らし、命を救うことができたのに、です。

そして、自殺者の後ろには、その予備軍のようにして、ひきこもりや精神疾患患者が大量に列を作っている…

「大人になったら全て自己責任」、「日本は先進国、平等で差別なんかない」、「努力しないやつに税金を使うなんて無駄だ」、「もっと苦しい人がいる、甘えるな」、「自分が助けなくても支援や福祉が助けてくれる」、「家族のことに口を出すな」、「精神障害者は危険、殺してもいい」、「あの人がそんなことするわけない」、「自殺を選びたい人を止める権利なんて誰にもない」、、、本当にそうでしょうか。

私は、「都市伝説解体センター」製作者の方々に、心からの敬意と感謝を捧げたいと思います。

ごめんなさい。私は、あなたの大切な〇〇の命を奪っただけでなく、72万5千人の殺人者です。

2.データ: 72万5千人という数について

📊 自殺者72万5千人(1998~2024年)と他の出来事の比較

出来事人数(おおよそ)補足
✅ 日本の自殺者数(1998~2024)約725,000人長期にわたる慢性的問題
🔥 関東大震災(1923年)約105,000人一度の大災害としては最多
🌊 東日本大震災(2011年)約19,000人(死者・行方不明含む)巨大地震+津波+原発事故
💣 広島原爆(1945年)約140,000人(年末時点)一発の原爆による
💣 長崎原爆(1945年)約70,000人(年末時点)同上
⚔ 日中戦争(1937–1945)約200万人(日本人死者)戦争による日本側の死者推計
⚔ 第二次世界大戦(全体の日本人死者)約310万人軍人・民間人を含む全体

(※戦争における死者数を日本人に限定してあるのは、「日本国内の自殺者数」と比較したい場合、比較対象も「日本国内の戦争による死者数(=日本人)」に限定する方が、意味の通る対比になるからという意図に依ります。)

🧭 見えてくること

  • 自殺で亡くなった人の数は、関東大震災を7回分、原爆(広島・長崎)を合わせた被害を上回る規模です。
  • **戦争に次ぐ規模の「静かな大量死」**といえます。しかも、これは「平和な時代」に「毎日くり返されてきた」こと。
  • 多くが防げたはずの「社会的な死(人災)」である点が、自然災害や戦争と決定的に違います。

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主な参考文献
・「都市伝説解体センター」(2025)集英社ゲームズ PlayStation 5 都市伝説解体センター 公式サイト

協力
・「ChatGPT」OpenAI 2025年6月6日参照 https://chatgpt.com/
(当該記事下部では、ChatGPTの生成した表や文章を、修正、抜粋して使用しています)

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